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文系のためのデジタル音楽業界就職ガイド第1回

リクルート出身ですが、人材系のビジネスに全く携わったことのない田島です。これから就職活動をされる方達のために「デジタル音楽業界のための就職ガイド」を書こうと思います。残念ながら、ほとんどの人には、全く役に立たないと思います。もう、こんな時期なので、今4年生だったりすると、遅いかもしれませんが。3年生以下、もしくは、中途で転職される方に。

デジタル音楽業界ってなによと思われる方もいらっしゃるというか、そんな言葉知らないって人がほとんどですよね。そりゃそうです。僕が勝手に呼びだした言葉ですから、知らないのは当たり前です。
デジタル音楽業界とは、「ITを手段として活用して、音楽を商売にしている人や会社をひとまとめにしたもの」です。
従来の音楽業界は、この「ITを手段として活用して」が抜けています。

広義での音楽業界というと、楽器を作っている会社や、楽譜を印刷している会社なども入ってくると思いますが、狭義では、音楽活動を糧としているアーティスト、作詞、作曲家を中心に、所属事務所、レコード会社、プロモーターやイベンター、そして、CDを流通させる販売店が音楽業界と呼ばれ、一般的には、狭義の音楽業界を音楽業界として認識されていると思います。細かいことを言うと、ローソンエンターメディアやぴあ、イープラスなどのチケット会社、宣伝でつながりの深いTV,ラジオ、出版社などのマスメディアも、音楽業界であるとはいえるのですが、あまりにも広くなってしまうので、ここでは、狭義のままで行きます。

 

簡単にいえば、この所属事務所、レコード会社、プロモーターやイベンター、そして、CDを流通させる販売店の業務にITをくわえることをしているのが、デジタル音楽業界です。

どんな会社があるのかイメージをされにくいと思いますので、例を挙げると一番わかり易いのは、着うた(R)配信会社でしょう。メジャーレコード会社が共同出資で設立した最大手のレコチョクを筆頭に、MUSIC.JPのMTI、最近はニコ動の方が話題ですが、dwango.jpのドワンゴ、JOY SOUNDのエクシング、GIGAのフェイス・ワンダーワークス、オリコンスタイルのオリコンなどがそうです。

着うた(R)、着うたフル(R)配信会社は、いわば、従来の音楽業界でいえば、CD流通のデジタル版なのですが、レコード会社が製造したパッケージ商品を仕入れて販売する卸の関係ではなく、音楽原盤に付随する公衆送信権(送信可能化権も含め配信する権利)をレコード会社もしくは、所属事務所等から、ライセンスしてもらい、一方で、作詞作曲の著作権に関しては、音楽著作権管理会社(JASRAC等)に信託されていることが多いので、それら管理会社に申請を行って、配信を行っています。(正確には契約形態によってライセンスじゃなかったりしますが、ややこしいので割愛します)

やっていることは、通常のITの会社と限りなく近いのですが、販売商品の卸ではなく、権利許諾を受けているところで、従来の音楽業界のルールに則った活動が必要となります。

IT企業として、テクノロジー側面のルールを理解しているのは当然ながら、音楽村といわれている音楽業界のルールにも則って事業をやっている点で、一般的なIT企業群とは、動き方が全く異なります。
今回のガイド(めげない限り連載するつもり)が、文系のためのと謳っているのは、エンジニア視点で見ると、開発・運用しているシステムとしては、通常のIT企業と大きく変わらないのですが、文系職の仕事としては、システム会社や、最近はやりのソーシャルゲームの会社とは、特に考え方の根本が大きく異なります。

一方、従来の音楽業界では必要のなかった、テクノロジーや、特に日本においては、PCよりもケータイが中心となっているので、通信キャリアのルールも専門的に理解している必要がある点で、大きく異なっているため、音楽業界とは分けてデジタル音楽業界という呼び方をしています。

音楽業界は、非常に人間臭い、属人的かつアナログベースで成り立っており、デジタル音楽業界に属している(と僕が勝手に分類している)会社は、ITを活用するための橋渡しとしての役割を持ち、従来の音楽業界の事業を単純にデジタル化、リプレイスするのではなく、従来のアナログではカバーしきれなかった部分をカバーしていくことで、音楽の事業全体を拡大させて収益化することを生業としています。

ますます、ややこしくなってきてしまいましたが、簡単にいえば、音楽業界と密に付き合いながらやっているITやさん、それが、デジタル音楽業界です。音楽業界のIT部門のようなことをやっている会社群と言いかえられるでしょう。

とにかく音楽業界に行きたい人とか、ネット広告系の会社に行きたいという方やソーシャルゲームをやりたい方が、流れの中で就職しても、ミスマッチとなります。ある種、IT業界の中でも異色の集団がデジタル音楽業界です。

僕自身、音楽、アーティスト周りを中心に、PCウェブの運営、ライブのグッズのプロデュースもやってきて、その後、デバイスをケータイに移し、着うた(R)配信を始め、少し前まで、着うた(R)中心の上場会社の役員をやっていたので、立場上、たくさんの新卒と面接し、採用してきました。が、残念ながら、多くのミスマッチを目の当たりにしてきました。

デジタル音楽業界を理解し、理解した上で目指す人が増えることが、唯一のこの業界と音楽業界の発展につながると確信しています。
今は、ケータイ向けのアーティストファンクラブを事務所さんと共同で運営する会社を経営していますが、文系の仕事としてのネックは、音楽業界とITの両方の言語(気持ちも含め)が話せるスタッフです。いわば、通訳のような人材。
幸いにも、弊社には、両方の言語を普通に話せる優秀なスタッフが複数いるので、それが弊社の唯一の売りになっていますが、事業規模が拡大していく中で、この種のスタッフが足りなくなってしまうことが、一番マズい。

そんな実情もあって、まずは、このような業界があって賛同し、それを目指すという方がひとりでも増えることを願って、気力が続く限りできるだけ連載します。(気力が続かなくなったらごめんなさい。)

第一回の最後に。仕事選びをするときに、好きなことを仕事にしてしまうのが、一番簡単だと僕は思います。その分、苦労や辛さはたくさんあるけど。

「好きだけじゃ食えない。でも、好きじゃないと仕事なんてやってらんない。」

 

※着うた(R) 着うたフル(R)は、株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントの登録商標です。

日本の通信キャリアがスマートフォンで失敗したこと


ケータイ(もちろんフィーチャーフォン)の液晶に空気が入ってしまったようなので、久しぶりにdocomoショップに行って愕然としました。

普段、キャリアショップに行くことってなくて、ケータイが並んでいるのは、量販店でした見ていなかったのですが、キャリアオフィシャルのdocomoショップなのに、フィーチャーフォン(欧米かぶれな方は、この文字をガラケーと読み替えてください)の実機が殆ど置いていない。カタログもスマートフォン版しかない。もう、ドコモは、売る気がないのか。

もう、1年以上今のケータイ(N-07B amadana)を使っているんだけど、機能についての不満は一切ないんだけど、反応が遅くて、大げさに言うと、キーを連打してちょっと待つとあ→い→う→え→おと変わる感じなので、このタイミングで買い替えてもなあという感じだったのですが、らくらくフォン以外のフィーチャーフォンの展示が数える程しかない。

フィーチャーフォンの展示が殆どない反面、android搭載端末用には、椅子とデスクまで用意して、試せるようになっている。BlackBerryでさえ、Bold9780とCurve9300のそれぞれのコーナーを用意。

まあ、BlackBerryはある種完成しているし、フィーチャーフォンの代替品(関係ないけど最近「だいがえ」って読んでいる人をよく見かけるんだけど、注意していいのやら)には成り得ない別物だから、良いとして、未完成の商品であるアンドロイドOS搭載端末をあたかもフィーチャーフォンの代替商品、もしくは進化型の商品であるかのように、今の時期に売っているのは、時期尚早じゃないかなと思うんですが、どうなんでしょう。リテラシーの高い人とか、エンジニアとかは、別に説明いらないからいいと思うんだけど、ケータイの文法で育ってきた一般ユーザをアンドロイドOS搭載のスマートフォンに説明なしにってのは、顧客つぶしになっちゃうよ。

はじめは、素のままのスマートフォンを発売して、これは今までのフィーチャーフォンとは違いますよって感じにしておいて、今のタイミングで、Xperia acroみたいに、ちょっとだけまともに動くようになったXperiaにワンセグとかFelicaとか赤外線ポートつけて、ほら、日本のケータイ仕様って言ったり、SoftBankのAQUOS PHONE THE HYBRID 007SHとかauのIS11SHみたいに、見た目の形を従来のフィーチャーフォンの形にしたアンドロイドOS搭載スマートフォンを出したりと迷走中ですが、これが一番の大失敗だと”僕は”思います。

フィーチャーフォンにしかなかったハード機能ついていて、インターフェイスをフィーチャーフォンのままにしたアンドロイドOS搭載機ってところまではいいんだけど、見た目がフィーチャーフォンなのに、フィーチャーフォンで当たり前だった機能がないっていうのは、ユーザを混乱させるか、今まで、キャリア課金で育ててきたコンテンツ市場を潰すことになりそうです。

見た目は、フィーチャーフォンで今までの機能は全部使えて、さらに、アンドロイドOS専用のアプリ「も」使えるよって感じにみえるけど、共通なのはハードのみ。

海外で売っているアンドロイドOS搭載スマートフォンだけど、ワンセグとかフェリカとかのオプションハードだけがついた日本向け別注版ですよって売り方だったらまだよかったのに。

各キャリアのスマートフォン失敗の一番の原因は、まず、UIDを吐き出さなかったこと。(WiFi問題とか別の問題は置いといて)で、公式サイトの引き継ぎ先を作らなかったこと。この2つ。

上記を準備してから、発売して、今になって、フィーチャーフォン型のandroidOS機だったり、フェリカが搭載された端末だったりすれば、よかったのに、残念です。

夏野さんが、ドコモの一番の失敗は、iモードをスマートフォンに入れなかったことだと再三おっしゃってましたが、まさにその通り。結局、SPモードとiモード統合になりましたが。

一度始めたサービスであれば、連続させないといけない。日本以外の他の国がどうだとか、グローバリゼーションがどうのとかじゃなくて。公式メニューがあって、だれでも使えるキャリア課金があって、パソコン通信のようなクローズドな状態である程度安全が保証されたサイトしかないエリアがあるって状態を10年以上ユーザに提供してきたんだから、そこからの連続性を分断するには、よっぽどの大きな理由が必要だけど、そんな大きな理由がないんですよね。iPhoneが独り勝ちしだして、焦って、とりあえずアンドロイド搭載機売ってみたってだけじゃ、理由にはならない。

スマートフォンは、ケータイとは別物ですよって売り方を徹底していたら、全員2台持ちって時代が来て、そこではじめてハイブリッドな端末だしたら、よかったんだと思います。

iPhoneだって、当初は、2台持ちの大人ばっかりでしたから。今でも、iPhone(Softbank回線)1台もちじゃ、電話としては頼りなさ過ぎて、電話を頻繁に使う大人には無理だから。

ちなみに、google checkoutとか、apple課金だの、paypalだの言っている海の向こうでは、コンバージョンが非常に高い決済手段としてキャリア課金が注目されだしています。(どこかで聞いたことがあります。)そう、欧米が進んでいて、日本が遅れているという考え方、そろそろ見直したほうが・・・。

はい。これは、もちろん、僕の個人的意見です。僕が関わっている会社とかは、全く関係ありません。